冬枯れ
孤独は
静かに 心をむしばんでゆく
大根に す が入るように

あるとき 突然 崩れて
自らの 空洞に 気づく

いくども
いくども
洞窟の中を 風が逆巻くような
行き場のない
スースーするものを
感じていたはずなのに

胸の裏側あたりが
落ち着かず
じっと坐っているのも
なんだか しんどい
そんな
自分の 姿を
知っていたはずなのに

カーテンをひく
目を他に向けてしまう

外を見る
この世には うつくしいものが
たんとあるから

外を見る
この世には かなしい風景が
飽きるほどあるから

そうやって
病巣が
毎日
わずかずつ わずかずつ
食い荒らしてゆくのに
手を打たず

   私の心の中の 芒原(すすきはら)
   今日も 冬の 風が 渡る
   ひゅうひゅうと 
   風が鳴る

(こんな心の終末をみとどける
 ホスピスのような場所が
 この世にあるのなら
 私はそこへゆきたい)

2001.01.26