と どんなにそれを願っても
ひとつになれない 淋しい種子が
思いあまって きつく抱きあい
互いに同じ夢を見た
その夢が果肉の部分
ひとよ
だからもう 薄い果肉と
なじるのは止せ
その夢の味 たたえたあとは
その種子をまた 寄せて埋めよう
詩集 <二重の行為>所収
「現代詩文庫」思潮社