愛するとは
愛するとは

ついにこわれてしまうこと

跡形もなく

己れの中の

壷もつららも吊り橋も

そしてランプも

この笛も

みんなこわれてしまうこと

 

 

それでよい

それでもわたしは愛し続ける

この道を行き

この道を行き

わたししか

ついに愛する者のない不憫なわたし

言い知れぬ

裂け目のようなわたしひとりを

 

 

高野喜久雄

詩集 <独楽>所収

「現代詩文庫」思潮社

言い知れぬ

裂け目のようなわたし

というコトバ!