ある日ある時
秋の空が青く美しいという
ただそれだけで
何かしらいいことがありそうな気のする
そんなときはないか
空高く噴き上げては
むなしく地に落ちる噴水の水も
わびしく梢をはなれる一枚の落葉さえ
何かしら喜びに踊っているように見える
そんなときが

黒田 三郎

詩集「ある日ある時」所収

昭43

この作品にも前出の「出発」という作品にも なにか共通する空気を感じるのです。祈りのようなもの、というのか・・どんなに絶望している中でも なにか人生、をわずかでも信じたい、と願うような、一途な思い、というのか・・