ぶにゃんこ。 それは、近所のスーパーの前の植え込みにいつからか居着いたドラ猫。
私たちが存在に気づいたのは2000年の夏頃。
これは 「ぶにゃ」が 苦労の末に スイートホームを手に入れるまでの日記である。
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彼はいつも茂みの前で坐って人を待っている。 買い物で通りかかる多くの人が彼をかまっていく。 この餌入れも誰かの差し入れ。
終電で帰ってきた私たちの足下にすりよる「ぶにゃ」。 あわてて、駅前のコンビニに猫餌を買いに走る私たち。 夢中ですりすり、のどを鳴らしながらご飯にありつく「ぶにゃ」。 うーーー けなげ。 去勢もされているし、この人間好き。 食べ物もドライキャットフードが好みだったり。 どう見ても、ずっと人間がおうちの中で飼ってた様子。 |
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ときどき、さすってやらないと、ご飯を食べない甘えん坊であることが判明。
ますます気になる。 肌寒くなってきてから、連日の「お世話」が始まる。 ぶにゃの住処には、屋根のあるあったかいところがない。周囲に人家もない。 コンクリづくめの素っ気ない建物があるだけ。 「縁の下」のような場所がどこにもないのだ。 捨てるにももうちょっと暮らしやすそうな場所にしてやればいいのに、と思う。 雨が続くと ご飯がもらえなくなって 飢えてしまう。 みかねて、餌入れの雨よけになるような箱を自作してセッティングしてきた。 どうか誰も怒りませんように。 夜がだんだん寒くなる。 ぶにゃが鼻水を出している。 心配で心配で 夜、夢に出てきたりする。 冷たい雨が降ると、「今ごろ一体どこでしのいでるんだろう」と気になって眠れない。 もう 完璧に 自分の猫のようになっている。 Nagが心配している。 「飼えないのに、そんなに深く関わっていいのか」って。 |
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寒さがだんだん厳しくなってきそうな12月はじめのある日。 「最低気温が4度」の天気予報を見て、決断する。
だって 放って置いて、ぶにゃが肺炎になったり死んだりしたら一生後悔するのが目に見えてるんだもの。 あとのことはどうにか考えて解決しよう! ・・・・ぶにゃを 捕獲して 自宅に連れ帰る。 |
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まずは、シャンプーしてやる。 驚いたことにあまり騒がない。 ドライヤーに至っては、のどを鳴らして甘えてくるほど。 うちの猫たちとは大違い。
そのあと、おおくぼ動物病院に検査に連れて行く。 伝染病を持ってないか調べるため。 血液検査の結果は異常なし。 でも、野良生活がたたってか、貧血気味。 がんばって養生するんだよ。 |
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先住猫とケンカするので、パソコンルームに隔離する。 小さなホットカーペットをつけてやり、カゴやいらないニット類を敷いて、ねどこをつくる。
じきに落ち着く。 しかし、家の中を探索している最中に 次々チョビやピートたちと鉢合わせして、家中パニック状態になる。 ピートがものすごくビビっている。 オス猫同士で、しかも 相手が自分より大きいので勝てないと思ったのかも。 ミミはケンカをふっかけに来る。 チョビは様子見で臭いをかいだりしてるけど・・ やっぱり 大きいオス同士はだめなのね。 |
ここで助っ人登場。
同じマンションに住む、Sさんから、「駅前の猫ちゃん保護したの、もしかしてお宅?」というメールが。 なぜ うちだと思ったのかは謎だけど・・・・・・ Sさんところにも マルちゃんという猫がいる。 が、「うちもお手伝いします」という申し出で、「ダメモトで、マルちゃんとお見合いがてらしばらく預かってみる」とのお言葉。 そこで、「ぶにゃ」のお引っ越し。 |
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これが、Sさん宅の「マルちゃん」。
見れば名前の由来がすぐわかる(^^; まんまるだから、マル。 顔や手足の先はわりと細いのに、身体はバスケットボールみたい。 男の子で8歳ぐらい。体重もかなりあり。 しかし・・・ やはり お見合いは失敗。 正月明けまで、隔離政策で世話していただいたが、最初は様子見で劣勢だったマルちゃんが、だんだん相手の気の優しさを見切ってきて、とうとう攻撃に出た。 なんと、「ぶにゃ」の首っ玉に噛みつきに行ったとか。 可哀想なぶにゃは、すっかり傷心で、クローゼットの奥から出てこなくなっちゃって、元気もなくなり、食欲も失せてしまった。 そこで、正式に里親募集開始。 |
「この子を保護しています。
どなたか里親になってあげてください」
獣医師診断済み。血液検査済み。 異常なし。
甘えん坊、人間大好き。人見知りなし。
温厚でおっとりしていて、だっこが大好き。
小さな子供さんもいやがらない奇特な猫。
ずっと部屋飼いされていたようで、トイレもしつけ済み、去勢済み。
猫を飼ったこと無い方は、色々ご相談にのります。
猫用品などもおつけします。
こんな写真付きの張り紙を、もといた茂みのあたりに出しました。
Nagの携帯の番号を付箋紙に書いて何枚も貼って。
そうしたらなんと、
その日の夕方に電話があったんです!
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駅の反対側の新築戸建てに引っ越してきたばかりだというお宅。
お父さんが「犬派」で犬を飼いたがっていたので、猫は半ばあきらめていたとか。 そのお父さんがなんと、付箋紙を持って帰り、「電話してみたのか?」とプッシュしてくれたとか。 半信半疑のお母さん、「ほんとにいいの??」と確認しつつ、お電話下さったのだそうです。 前からきっと、ぶにゃのことを構っていたうちの一人だったんでしょうね。 |
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小学5年生の双子。 髪の長い方が奈央子ちゃん、短い方が佳奈子ちゃん。 二人とも すごい猫好き。 この溢れんばかりの笑顔! |
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佳奈子ちゃん、すごく嬉しそう。
娘にこんな顔見せられたら、お父さんはメロメロだよねえ(^^) |
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最初の引き渡し予定が1日遅れることになって、子供達はブーブー言ったそう。
余程、楽しみだったんだね。 ぶにゃは 最高に幸せな猫だと思うよ。 甘えん坊で、性格良くて、人なつっこいから、みんなに愛されてたんですね。 |
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翌日に、お父さんも加わって「家族会議」で名前が決定したそうです。
「マックス」というお名前。 マックス、幸せにね! |
後日談。
みんなに気にかけられていた猫なので、他の人たちに安心してもらえるように、貼り紙に「おかげさまで新しいおうちが決まりました」と書いた紙を貼り付けておきました。 昨日、それを回収しに行ったら、2人ばかり、メッセージが書き入れられてました。 「おめでとう! 可愛がってやって下さい」 「よかったね!」 ・・・・・・ほんとに果報者だね > マックス 元気で長生きするんだよ〜 |